
パチンコ 借金 ギャンブル依存。
大学をサボって、朝からホールに並ぶのが日課になっていた。最初は授業をサボっただけのつもりだった。
けれど「今日は勝てる気がする」そんな根拠のない感覚にすがっていた。気づけば、財布よりも台の音の方が気になっていた。
親からの仕送りも、バイト代も、すべて台の中に消えた。
もちろん最初は、遊びだった。
ただ、「あと少し取り戻せれば…」という思考が癖になり、気づけば生活費もつぎ込んでいた。
そうして初めて借金をした。
キャッシングの手続きは、驚くほど簡単だった。申し込みから数時間でお金が振り込まれた。
これで負けを取り戻せる。そう思って再びホールに向かった──
けれど結果は、変わらなかった。
当然、返済のあてもないまま借金は膨らみ、気づけば複数の業者から督促の電話が鳴るようになった。
携帯の通知が怖くなり、着信音を消して、布団の中に潜る日々。
社会から一歩ずつ遠ざかっていった。
パチンコ 借金 ギャンブル依存の自覚
それでも、行ってしまう。金がなくても、時間だけはあった。
気づけば“勝ち負け”よりも、“その場所にいること”自体が目的になっていた。
頭ではもう負けるって分かってる。
それでも行かずにはいられなかった。
「お前、最近大学来てないな」
そんな声をかけられるのが嫌で、連絡先もSNSも消した。
正直、誰かと話すのが面倒だったというより、自分の姿を見られたくなかった。
昔は「自由な生き方をしたい」とか言ってた。でも今思えば、それはただ現実が怖かっただけだった。
あるとき、自分がギャンブル依存だとネットで読んだ症状に当てはまりすぎて、背筋が凍った。
“勝っても使い切る”“負けても取り返そうとする”“嘘をついてまで通う”──全部当てはまっていた。
自覚したときには、もう何もかも失っていた。
友達も、信用も、自尊心も──すべてパチンコに溶かした。
大学は結局中退した。親とも連絡を取らなくなって何年も経つ。
今はフリーターで、日払いのバイトを転々としている。
このままじゃまずい──そう思うようにはなった。
でも、何をどう変えたらいいのかも分からない。
それでも、もう一度だけ、ほんの少しだけ、踏み出したいとは思ってる。
ただ、ひとつだけ言えるのは──ギャンブルは、ダメだということ。
あの頃、逃げずに大学をちゃんと出ていれば、
親の言うことに少しでも耳を傾けていれば、
こんなふうに人生を遠回りすることもなかったかもしれない。
今さら後悔しても遅いかもしれないけど、
だからこそ、これを読んだ誰かが同じ道を選ばないでほしいと、本気で思っている。
やり直したいなんて、簡単には言えない。
ただ、今日も“打たなかった”自分を少しだけ認めたい。
逃げるように、少しだけでも。