薬物依存 再出発

薬物依存 再出発 という“現実”に直面して
「二度と手を出さない」と誓ったはずだった。
しかし――出口のない孤独と焦燥が、また俺を飲み込もうとしていた。
40代。
若さも、家族も、信頼も、ほとんど失っていた。
薬物依存で刑務所に入り、ようやく出所したとき、迎えてくれる人なんて誰一人いなかった。
薬物依存 再出発 それでも「もう一度やり直したい」と思った。けれど現実は甘くなかった。
履歴書に前科があると、まず働き口が見つからない。
実家にも帰れず、居場所もなく、日雇いとネットカフェを転々とする毎日。
そんな中、再び手を出しそうになる“瞬間”が何度もあった。
だが、ある時、かつて一緒に薬をやっていた後輩が、再犯で命を落としたという話を聞いた。
その知らせに、ようやく自分が“本当に壊れていた”ことに気づいたのだ。
居場所を探し続けて気づいたこと
薬物依存の再出発は、「再出所」しないことが第一条件。
だがそれだけでは足りない。
人間は“帰る場所”がないと、また過去に戻ってしまう。
だからこそ、頼れる支援団体を見つけ、まず生活のリズムを取り戻すことから始めた。
支援施設で出会った人たちは、俺と似たような過去を持っていた。
しかし違ったのは、彼らが「まだ自分を諦めていない」ことだった。
それが、俺を少しずつ変えていった。
最初の3ヶ月は本当に苦しかった。
だけど、洗濯物を干す、掃除をする、ゴミを出す──
そんな当たり前のことを続けるうちに、少しだけ自信を持てるようになった。
過去の自分へ、ひとことだけ
今、俺は週に3日、工場で働いている。
給料は安いし、生活もギリギリだ。
それでも「もう一度クスリをやろう」とは思わない。
なぜなら、今なら言えるから。
「やらなきゃよかった」
ただ、それだけだ。
もし今、昔の俺と同じように“薬に逃げそうな誰か”がいるなら、伝えたい。
人生は一度壊れても、もう一度立て直すことができる。
だけど、薬に手を出したら、“何度でも壊れる”。
後悔しても、戻れないものがある。
けれど、壊れた自分を受け入れたとき、やっと再出発が始まるんだ。