60代 転職 難しい ─ 通帳を見て声が“働けない老後”はこう始まる

60代 転職 難しい

60代 転職 難しい 「60歳の壁なんて、まだ先だと思ってた」

そう思っていたのは、数年前。部長職だった自分が、突然“希望退職”を打診された。断る理由もなく、納得したふりで応じた。退職金も少し出たし、「まあ少し休んでから、また何かやろう」と思っていた。だが、現実は甘くなかった。

最初はハローワークに通った。しかし、紹介されるのは介護や清掃、夜勤の警備ばかり。やりたいとかやりたくない以前に、体力がもたないと思った。それでも応募はした。けれど、どの会社も年齢を聞くと明らかに態度が変わった。
「今後のキャリア形成を考えると…」と面接で言われたとき、“もうあなたに未来はない”と言われた気がした

60代 転職 難しさ。そして半年が過ぎた。

60代 転職 難しい本気で考え、それから半年が過ぎた。通帳の残高は、見るたびに減っていた。年金の支給開始までは、あと2年ある。その間、何もできないまま日々は流れた。履歴書は何通も書いた。だが、返信は来ない。郵送代も、証明写真代も、じわじわと財布を削っていった。

ある朝、通帳を開いた瞬間、喉の奥から「うわっ」と声が漏れた。残り12万。もう笑うしかなかった。

それでも、家族には何も言えなかった。

妻は「大丈夫よ、なんとかなるわよ」と言うが、その声には焦りがにじんでいた。昼間、彼女がパートに出ている間、俺は何をしているのか──テレビの音だけが部屋に響いている。

「もう一度働きたい」と思っても、選べる仕事はない。選べないどころか、“必要とされない”という事実が目の前にある。

履歴書を印刷しようとしたが、インクが切れていた。買いに行くか悩んだ。千円すら惜しくなった。そんな自分に愕然とした。

友人の多くは、再雇用制度でなんとか仕事を続けている。SNSを開けば、「第二の人生」だの「夢のカフェ開業」だの、明るい老後の投稿が流れてくる。だが、俺の現実は違った。

プライドを捨てきれない自分が悪いのかもしれない。もっと早く動けばよかった、いや、もっとちゃんと人生を設計していれば…と悔やんだところで、時計は巻き戻らない。

60代は“人生の集大成”などと言われるが、それは順調にきた者の言葉だ。つまずいたまま歳を重ねると、取り返しのつかなさだけが重くのしかかる。

それでも今日も、生きている。ただ、それだけだ。
「なんとかなる」じゃない。「なんともならない」を、なんとか抱えていくしかない

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


上部へスクロール